こりゃ変化が遅くなるわな

前回、前々回で、日本企業の特徴を述べてきた。

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この中で要点となるのは3つ

  • 「何かあったらまずは仲間に報告しなさい。それからどうすべきか仲間内で話し合ってどうするか決めましょう」
  • 最終決定が「上部の命令」なのか「課内の結論」なのか不明
  • 組織の下部だけでなく上部も一揆的運用

である。
ここから出てくる組織的特徴はなんだろう?

縦割り組織

何かあったら、まずは身内で相談し、身内で解決しなければ上部へ連絡して上部部間で相談して決定を下す…が基本的な企業構造である。身内で結論を出すのにも時間がかかるが、上部に渡ればもっと時間が必要となる。
つまり横との連携は(数ヶ月後に確実に出来る業務など)限定的にならざるを得ない。横の部署との大胆なシェア(コピー機のシェア、部署間コラボキャンペーン、社員の貸し借り)は気軽にはできないので、部署毎に(コピー機や電話番号などを)一式揃えなければならない。 f:id:watakenn3:20160718085630p:plain

派閥組織

人間関係は部署毎に違うし、議論の進め方も結論もそれぞれの部署で異なる。今後の見通しも部署毎で異なり「花形部署」やら「足手まとい部署」やら社内で噂して盛り上がっている。社内共通の書式で仕事をしている筈だが、書いて欲しい内容が部署毎に微妙に違うので、他部署に書き方を習わないと提出もままならなかったりする。
つまり部署毎に見える世界が異なるのだ。会社の中に独立性の高い”派閥”が出来ていて、これを無視して仕事を進める事は難しい。良い意味で会社の中に高度な多様性が保持されていると言えるが、何かあれば各部署がバラバラに動いて何も決まらない事態に陥る(=組織が硬直してしまう)。

長期的視点

縦割り組織だし派閥間の調整もあるのでなにをやるにもとにかく時間がかかる。「やりたい事」がヶ月単位で進むことを覚悟しなければならない。逆を言えば長期的な視点から組織を眺めて「これだ」と思う提案でなければ議題にも上がらないわけだ。これは良い意味では「誤った選択を取らない」事に繋がるが、悪い意味では「大胆な決断が出来ない」し「前例主義」になりかねない。

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他にも色々な特徴があるんじゃないかと思いますが、特に重要だと思う視点3つ取り上げてみました。全て前回の記事でモデル化した一揆的組織を忠実に守った場合に発生する特徴ですが、良い感じに日本社会の特徴を捉えていると思います。

変化が遅くなる理由は、「仲間内で相談して決めよう」という運用によって発生する組織の縦割り化です。
仕事って仲間内で収まる方が少ないので上層部の相談を経由して解決を図る訳ですが、身内で一度、上部間で一度、計2回相談するだけの都合を整えるとなるとどうしても結論が遅くなる。上部を無視して必要部署と連携出来ない故に時間がかかる訳です。

でもこれでは、ここまで日本が発展した理由を上手く説明できません。日本は高度な縦社会という理由だけで「世界第2位の経済大国 (元) 」「一億総中流社会(元)」を築いたとは思えない。
もっと柔軟に「横の連携」が出来る仕組みがあるはずなんですが、 この図だけではそれを説明できないんですね。もう一つ二つ大きな理由、視点が必要なんでしょう。次回でそれを説明してみる。

しっかし、日本社会ってホント変化が遅い。