ガンについてのアレコレPart2

前回の続きです。まだ見ていない人は見てくださいね。

ガンについてのアレコレ - watakenn3の日記

そもそも変異ってのをどう想像すればいいんだ?

難しいですよね。ここでは遺伝子変異によって起こる影響を考えましょう。

高校で習ってる範囲でならば、点変異、逆位、挿入、欠失、重複とか基本的な事は分かっているはずです。それではなく、そこから考えられる影響編です。わかっていない人はコドンのwikiを見て、「3つで一つのアミノ酸をコードする」「アミノ酸が連なってタンパク質になる」「変異って事は別のタンパク質に変わる」位の認識を持ちつつ説明を聞いてください。

遺伝子とは基本的に次の様な構造を持ちます。


遺伝子変異というと、一番わかり易いのが、「鎌状赤血球症」に代表される様な「アミノ酸指定」の変化ですね。それはこんな感じ。


ところがどっこい、変異によって「読み取り終了時点」が作られる事もあるんだぜ奥さん。


勿論、本来の「読み取り終了時点」が変異する事もあります。そうなったら影響半端ないです。



「終了地点が変わる可能性がある」という事は「開始地点が変わる可能性」も当然あります。そうなったらアミノ酸は読まれません。


開始地点が「新たに作られる」場合、その影響は計り知れません。「3つで1つをコードする」コドンの性質上、一つずれたらその後の読み取りが本来のものから全て一つずつズレます。本来のアミノ酸指定が含まれるパターンは1/3であり、2/3の確率で「全く新しいタンパク質が作られる」と考えられます。


アミノ酸コード関連の変異」「読み取り開始地点の変異」「読み取り終了地点の変異」それぞれによって全く影響が異なる事が分かると思います。


さぁお前ら、変異によって起こる影響を考察せよ。
単純な変異でさえ想像できる余地は無限大だぜヒャッハー

Googleで調べる際の参考キーワード:ナンセンス変異、フレームシフト、ヌル変異

怖くね?変異

これもまた変異を無効化する仕組みが色々と…
一つ目は「読み取り開始地点の変異」「読み取り終了地点の変異」に対して変異の影響というのは壮大なものになりますが、よくよく考えると「アミノ酸指定領域」に比べると随分と範囲が狭いので殆ど無視出来るお話なんです。万が一深刻な影響が受けそうな状態になれば「アポトーシス」しちゃうので平気です。


2つめは我々は母方由来、父方由来のゲノムを持つので何方かがダメになっても保険がもう一つあるという状況です。いきなりタンパク質の生産量が100から0になったりすることは無いようになってます。


3つめは点変異であれば殆どアミノ酸が変化しない様にコドン暗号が作られています。コドン表を眺めるといくつか同じアミノ酸を指定していることもある事が分かりますよね。変異といっても無意味なこともあるのです。「アミノ酸コード関連の変異」は点変異であれば殆ど影響を与えません。

「コドン暗号は全生物で同一である」という事が生物の起源は一つの生物なのだろうという事の根拠になっています。それではそのコドン暗号は果たしてどれほど変異に対して抵抗性を持つのだろうか?(点変異が生じても無意味になるのか)というのを調べた人がいます。コンピューターを使ってありとあらゆるコドン暗号作って確率論的に調べたそうな。それによると自然に選ばれたにしてはあり得ないレベルの「変異に対する抵抗性(感受性)を誇るそうな。不思議ですな〜



まぁそれでも長生きしていれば変異によってタンパク質は変わります。変異回数が毎日数十億回ではしょうがないです。

我々は変異と上手く付き合ってる?

らしいです。というより我々が生存している事自体がその証明とも言えます。しかし「らしい」ですませます。科学なんで。それが一番現状もっともらしい答えなんで。


人が70歳になる頃にはDNAの傷跡(大規模な変異)が2,000箇所以上見つかるらしいです。勿論、ちっちゃな傷跡はもっと沢山あるでしょう。それも数万〜数十万。変異と上手く付き合える仕組みを多数備えないと説明できないんです。



ガンになるって事はたまたま起きてしまったって事です。