上から下まで全て一揆運用

前回に引き続き今回も日本型の企業の特徴を説明出来る様にモデル化を行っていきたい。

 前回で、企業の基本単位である「課の運営」をモデル化したので、次は組織単位ではどういうモデルとなるのかを説明していく。


一揆運用を前提とした企業体制 

基本単位を課内一揆として組織を作り上げると次の様になる。 

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まぁ当然の図である。

では、この様な一揆的模様は課内の様な小さな単位だけで上部は全く別の仕組みで運用されているのか?

恐らく基本的な仕組みは同じである。課長の上の部長も「部長一揆」を作り、何かあれば

「何かあったらまずは仲間に報告しなさい。それからどうすべきか仲間内で話し合ってどうするか決めましょう」

 

で仕事を行なっている筈である。

という事は日本的な企業とは課長一揆の上に部長一揆があり、部長一揆の上にエリア長一揆があり…社長の周りに重役一揆があるという形の多重一揆構造が基本的な組織構造ではないか。

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 象徴的な三長官会議

この形で最も象徴的なモノは恐らく、旧日本軍陸軍の三長官会議ではないかと思う。陸相をあえて選出しない事で、内閣を流産させるやり方で、陸軍の発言力を強めたという歴史の教科書のアレだ。

この三長官会議は、前回にあげた「課内一揆」の特徴とピシャリと一致する。

前回の要点を示すと

  • 「何かあったらまずは仲間に報告しなさい。それからどうすべきか仲間内で話し合ってどうするか決めましょう」
  • 最終決定が「上部の命令」なのか「課内の結論」なのか不明

となる。三長官会議に当てはめてみると 

  • 内閣が変わるので、陸軍から一人陸相を選別しなければならない→三長官会議で話し合いましょう。
  • 陸相を選ばないが、これは会議の結論が「天皇の命令」よりも上だからか→そうではない。天皇の命令を尊重している(結局不明)

 元々、三長官会議は「法律的に定められた実行力のある会議」ではない。職場で不文律になっていた慣習を明文化した程度のモノである。しかしこのやり方が常態化し、最終的には「天皇の命令」と「会議の結論」の齟齬をうやむやにできる程度になった。

このやり方・運用方法は正に「課内一揆的運用」であり、組織の下部から最上部まで「一揆的運用」で組織活動を行なっている事の証明と言えるのではないか。