就職活動ver.2.0

現在の就活というのは異常です。
とにかく可笑しいです。

一体全体「何が可笑しいんだ?」と根底を探っていくと
「大学時代にキャリアを形成出来るルートがない」
なんです。

ご存知の通り企業はアルバイト経験について見向きもしません。職業体験としてインターンが存在していますが、大学3年生の就活が始まる前に行うモノが大半で、長期を歌っているものでも精々3ヶ月程度に過ぎません。「石の上にも3年」を基本とする日本において3ヶ月とは最早お遊びです。インターンを行なっている企業もそれを承知でやっているので誰も得をしない制度となり果てています。

就職活動が非常に厳しいこのご時世でも社会から「大学生は遊んでりゃいい」と言わんばかりの様な状況です。
非常に厳しい時代でありながら若者の教育には無関心な社会で呆れてしまいます。



そこで今回のエントリーでは「今の就活の状況ってこんな感じだよね」っていう所から「理想の就職活動ってこうだよね」「この就職活動ってこんなメリットがあるよね」という事をちょいちょい考察していこうかなと思います。

就職活動ver.1.0

基本的に今も昔も将来もこれが「最高!」と呼べる様な就職プランです。


高校時代から「これを専門的に学びたい!」と大学に行き「大学で得た知識を仕事に活かしたい!!」と、大学で得た専門性がそのままストレートにキャリア形成にも活かせる場合です。

しかし現実はそんなに甘くなく、大学で得た知識とは全く違う分野でキャリアを形成していく人も少なくありません。むしろコチラが本流な流れと言えます。その場合、大学で得た知識は一端破棄されるので「ギャップ」を生じます。




この場合、大学で得た知識というのはムダになりますので、大学生は「以下に楽にして大学を卒業するか」という所に重点を置いて大学生活を始めます。大学生が勉強しないというのは社会全体から見れば大きな損失ですが、大学の専門性と就職実績のギャップを考えたら合理的とすら言えてしまいます。


ところで、最近はインターネットを始めとして、学生が手にできる情報量というのが飛躍的に高まりました。それを就職活動に生かそうとして人気なのが「リクルート」「マイナビ」「就活ナビ」だったりします。これらは「ギャップを無くして理想的な就職先を見つけよう!」とするものなので、基本的に「ギャップを無くす方向」に圧力が掛かります。昔の学生に比べ、ここ最近の大学生が学業に集中しているのはこうした「夢」を見させてくれる企業があるからだと思います。



しかし長引く不況の影響により「ギャップ」は激しくなりました。この「ギャップ」とは高校生の時夢見た「専門的な学び」が自分の将来設計に何も役に立たないと思い知った時の絶望感ですから誰にとってもつらいモノです。しかもその「辛い現実」に向かうのは就活を始めた数カ月後に一気に襲いかかってきます。こうした激しすぎるギャップに対抗する形として現れたのが「就活デモ」です。


というのが、最近の就活状況です。

ここで私が問題にしたいのは「就職活動を4年生だけに限定する」という状況です。どんな時期にでも就職を意識させる事が出来るのであれば早い時期に「大きなギャップ」に気がつけ、軌道修正出来ます。其の様な「機会」が十分にあれば上記の様な馬鹿げた就活デモは無くなります。

個人的な定義ではここに焦点を絞った就職活動というのが就職活動ver.1.0です。

就職活動ver2.0


全体の構図はつぎの様になります。

早い話がUNIQLOがやろうとしてる事です。
新卒一括採用の消滅!? ユニクロが検討する「大学1年生採用」の衝撃 - ニュース - ニュース|週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト]

これのメリットは何でしょうか?

  • 早期の内にOJTを組んで社内教育が出来る
  • 優秀な人材を早期に確保出来る
  • 学生にとって就職の選択の幅が広がる

というのがニュースでは挙げられていましたが、これでは大学生を雇う理由には成り得ません。高卒でも十分代用可能です。「大学生」を雇う十分な理由とは一体何でしょうか?

大学生には高卒にはない魅力があり、その魅力は新卒社会人を遥かに凌ぐと個人的には思っています。社会がその魅力に気がついていないだけです。

その魅力とは一体なんでしょうか?
簡単な話で「教授」との繋がりがある事です。
高卒では教授と合う前に社会で働く事になります。新卒社会人は「一度は教授と繋がりがある状態」でしたが、その繋がりを維持している社会人というのは稀です。

漏れ無く教授と繋がりがある社会人というのは現役の大学生だけです。この魅力を「社会が」最大限に利用した就職活動というのが「就職活動ver.2.0」となります。

就職活動.ver.1.0は大学の出口付近に焦点を絞った活動なのに対し、就職活動ver.2.0は大学の入口付近に焦点を狙った就職活動です。

知識のインプット、アウトプットの場の分離

多くの企業では社内教育で多くの知識を新卒社会人にインプットさせている事でしょう。大学の知識と、実践で使う知識では相違点がある為、インプットをし直さなければ使い物にならないからです。しかし、インプットでは金を産みません。アウトプットを行うからこそ企業は金を生み出すことが出来ます。

「社内教育とは何なのか?」というと、インプットとアウトプットの混合教育です。当然ですが、社内教育は試行錯誤の連続による結晶体で「大学の教育課程」に比べたら随分と見劣りするインプット内容にしか成りません。また全員参加型の突貫工事的なアウトプットですのでこれもまた大雑把な事しか教えられません。

〜インプット編〜そこで考えられるのが「インプットを大学教育に委託する」という事です。これは大学1年から「仮正社員」としての立場を得ているからこそ出来る教育プランです。大学での知識の取得状況(成績)に応じて仕事の賃金を上げ下げしたり、新たな仕事を任せたりするのです。多くの人が大学でのインプットを必死にやるでしょう。何故ならばそれが「所得最大化」の合理的行動だからです。必死に学べばそれだけ所得が向上する機会が増えると分かれば誰だって死ぬ気で学ぶに決まってます。分からなかったり、講義と現場で使う知識が多少異なる場合、教授に直接聞けば良い話です。多くの企業から必要とされるのであれば教授は惜しまずにその膨大な知識を学生に教えてくれる事でしょう。大学の数が膨大になり「大学の社会的必要性」というのが問われているこの時代だからこそ、会社は惜しまず教授を利用してやりましょう。

「新卒を一人前にするのに掛かるお金は100万」とよく言われるものですが、インプット内容だけで見れば50万程度を投資しているということでしょうか。大学で支払ったお金は400万程度だと思いますので、その1/8のインプットしか社内教育では行われません。逆に大学教育課程をうまく利用出来る仕組みが出来れば企業は50万の出費を抑制できるどころか、350万円分の恩恵を受ける事になります。この話は大企業向けと言うよりも中小企業向けの話の様に思えます。

〜アウトプット編〜

大学教育は前期課程、後期課程に分かれていますよね。大学で学び取った事を元に仕事の質を高めていくとなると必然的にOJTのアウトプット内容は細かく専門的に教えていく事が可能となります。だって半年に一度、仕事の質を一段階変えるだけですから。普通のOJTの様に、様々な要素を詰め込み教育したら新社会人が消化不良のままOJT卒業…という心配がありません。

そして知識は「第三者機関」である大学からの評価が行うのですから、社内評価はより「アウトプット」を重視した評価を下す事が出来ます。学ぶ上で大切な事は「アウトプット」の厳しさです。求められる結果が厳しければ厳しい程人間というのは「どうすればインプットを最も効率よく行うことが出来るか」を考えて行動を始めます。従来の「教えられながら、行動に移す」OJTよりも「行動に移す」事に重点を置いたOJTの方が必然的に仕事に対するやる気が上がります。


こんな感じで今回の考察はオシマイです。次に「就職活動ver.2.0における競争の焦点とその時求められるサービス、有利な企業」というのを考察していくよん。