PDCAサイクルの方向性

先日PDCAサイクルという言葉を連呼した影響か、PDCAサイクルについて色々と考えてしまった。

という事で本題の通りPDCAサイクルを通してどの様に事業改善を改善していくのか、その方向性を図を使って可視化してみようと思います。

あれこれ思案して、考えとして上手くまとまると楽しいね。

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まず理解しないといけないのが、PDCAサイクルが始まる初期は誰もが経験値のない初心者だという事です。そりゃそうです。アルバイトでも何でもそうですが「最初は誰もが右も左も分からない状況で業務をこなすよね?」って事実の再確認です。

で、初心者でも業務を何度か行えば上手く作業をこなせる様になります。この過程経路はよくよく考えれば立派なPDCAサイクルです。「やることを確認して」「行動してみたら」「店長に怒られたから次は怒られないように行動しよう」「その為にはどうすればいいだろう?」と個々で考えて行動を改善する訳ですからPDCAサイクルによる業務改善の典型例とも言えるかも知れません。

ただ、この経験値による業務改善はあくまで個人レベルであり、集団レベルでより良い業務をこなす様になるには集団内で密な業務連絡や報告義務を設ける必要があります。いわゆる「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」ですね。

ここで注目してもらいたいのが、下の方に赤字で記した「経験値」という言葉です。当然ですが、この種のPDCAサイクルによる業務改善効果が期待できるのは「経験者」に限られます。従って新入社員を雇えば経験値がないのですから「過去に起きたミス」を再び繰り返すのは当然です。

当然、経験者は新入社員に早く「赤」のステージに来る事を求めますが、日々業務改善し洗練された社内システムを理解し、使いこなせる様になるには時間が掛かります。「青」から「赤」までの距離が長ければ長いほど「赤」にいくまでに時間が掛かり、時間がかかれば掛かるほど「過去に起きたミス」を引き起こしやすくなるのは自明の理です。「青」から「赤」への移行の時に重大な問題が発生すれば「社内の情報共有が甘かった」とか「社内の情報共有が十分ではなかった」等の言葉となって問題として表面化する訳です。

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この問題を発生させない方向性は2つあると考えられます。

  • 「青」から「赤」へより素早く移行できる優秀な社員を雇う。

これは単純な話で同じ教育時間でも「より早く」「赤」へ移行できる人材を雇おうという訳です。結果的に「青」→「赤」への以降に掛かる総時間が減る訳ですから「過去に起きたミス」を繰り返すリスクを減らす事が出来ます。

  • システムそのものを変更する。

こちらは新入社員が来るたびに同じ様なミスが起きるならシステムそのものを変えてしまえばそのミスを防げるだろうという発想です。この場合、次の様に変化します。

当然ですが、システムが変わろうと、はじめは経験値がない新入社員なのには変わりないので左端は青です。異なるのはその後で「陥りやすいミス」を改善したシステムに変更されてる為、青→赤への移行がスムーズになり、移行期間も短縮されます。

ただし、システムが変更されると以前のシステムで手に入った経験値は使えなくなります。パソコンがなかった時代の経験値をパソコン全盛期の現代で優雅に語っても新入社員は何も嬉しくありません。それは使えない経験値です。新入社員からしてみれば欲しいのは「現在稼働しているシステムに対応した経験値」であり過去のシステムはどうでもいいわけです。故に多少の空白を設けてそれを表現しました。

以上の事を統合すればPDCAサイクルの方向性には2方向あり「経験値」軸と「システム」軸が同時に存在する2次元グラフで表す事が出来ます。これを図で表すとこんな感じでしょうか。


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システム改善をする上で面倒くさい所を幾つか上げると

  • 人は一度体験すれば自動的に経験値を積んでしまう

という事。人間は今日失敗したら、明日は上手く対処出来るようになるものです。なので「今回の事業計画の中で上手くいかないところが幾つかあり改善案として…」というおきまりの議論を重ねてても、次回やる時は全員が「経験者」としてスタートする訳ですから、システム改善が出来てなくても経験値を活かして前回より上手くやってしまうわけです。本当に「システム改善出来た!」と確信出来るのは、未経験者に任せて以前の失敗を繰り返さなかった場合だけです。従って「システム改善」とは新入社員が入ってみなければ分からない物なのです。

  • 優秀な人材ほど青→赤への移行が早いこと

先ほど考察したように問題を起こさないためには「優秀な人材を雇う」「システムを改善する」の2パターンあります。現在の厳しい就職活動を省みると企業がどちらのパターンを採用しているかは明らかでしょう。しかし優秀な人材を雇い過ぎるとその優秀故に順応スピードが早く、自社のシステムに問題があったとしても気が付かないという結果を生み出しかねません。時代遅れのシステムだと気がつくのが遅ければ取り返しの付かない機会損失を被る結果になるやも知れません。




という事でPDCAサイクルについて色々考えてみました