2012年衆議院選挙に置ける一票の格差について

2012年12月16日に行われた衆議院議員選挙についての考察です。


選挙は自民党の圧勝に終わりましたが、私にとって最も注目したいのが「一票の格差」についてです。事前に最高裁判所が「今の選挙制度は違憲状態」と勧告しながら実行された本選挙は一体どの様な選挙だったのか。憶測や新聞を見るだけに留まらず自ら調べて色々と図を作成しました。本記事のデータで参照したのはNHKの選挙特設ページです。
http://www3.nhk.or.jp/senkyo/index.html

何故一票の格差が生まれるのか

選挙の区割りのせいです。例えば千葉4区と高知3区では元々有権者の数が2.4倍程異なる為、投票率100%だとしても2.4倍の投票格差が生まれます。一票の価値をお金に換算すれば300万は下らないと推定されているので、軽はずみに考えてはいけません。これは都会、田舎関係なく広範囲に渡って発生している問題です。一票の格差というと「田舎」「都会」の人口密度の問題だと連想されがちですが、それは殆ど無関係です。図は2009年の衆議院議員選挙の時の投票格差の様子ですが、この区割りのまま今回も行われたので問題はそのままです。

実際の投票率を考慮すると格差は更に深刻に

例え投票率が100%だとしても一票の格差が生じるなら、実際の投票格差は更に深刻化する。今回の全国平均的な投票率は59.32%。最も投票され当選したのは神奈川県十五区の192604票、最も少ない投票数で当選したのは高知一区の44027票で投票格差の最大値は4.375倍投票格差の全国平均値は2.16倍だ。一票の格差についてまとめた全国地図を作成したので自分の都道府県はどんな感じだったのかを確かめて貰いたい。なお、価値の区切り方については上記の図と対応させて作成してるので暇なら見比べて見るのが良いだろう。

何故ここまで差がでるのか (選挙区割格差)×(死票)の方程式

最初の図にある通り選挙の区割りの時点で一票の格差は生じている。今回はそれに加えて、死票の多さが際立つ。例えば山梨県を見てみよう。最初の図で山梨県をみると緑色をしており、元々一票の価値が高い地域である事が分かる。更に小選挙区の詳細を見ると53〜67%が死票である。つまり元々一票の価値が高い地域が、死票の相乗効果で更に一票の価値を高めた訳だ。山梨県は非常に激戦な選挙区故に一票の価値が極端に上がった典型的な選挙区である。

とは言え、立候補者同士が激しい選挙戦を繰り広げる事自体は悪い事ではない。激しい選挙戦の結果死票が増えるのは当たり前であり、容認すべき事柄である。

問題なのは選挙区割りの時点で1.8倍程度の投票格差が生じている事だ。もし初めから選挙区割りで格差が乗じなければ53〜67%の死票が生じても2倍少々の投票格差で済むのである。山梨県は山梨選挙区割りの1.8倍×死票の多さ(2倍)=3.8倍程度と一票の価値を跳ね上がらせた。この問題を二度と起こさない様に我々が出来る事は、選挙区りを見直す事しかないのだ。死票は決してコントロール出来ない。