一票の格差の犠牲者達

今回の衆議院議員選挙では実際に愛知県で9万票以上を獲得しながら落選した候補者がいる一方で、高知県では4万票程度でも当選を果たした候補者もいます。「一人一票」が憲法で保証されているはずなのにこの様な事態が起こるのはどうも可笑しい。

そこで「確実に一人一票が保証されているやり方」である、「得票数が多い順に当選させたらどうなるのか?」を見て見る。

白の枠の人は順当に受かった人(多いので略してます)
赤枠の人は、一票の価値が重い「権利富豪エリア」で立候補したから当選した人青枠の人は、一票の価値が軽い「権利貧困エリア」で立候補した為に落選した人です。
全国の有権者の票が同じ重みであれば、この表の上から300名が当選するはずでした。

今回、一票の価値が軽かった為に落選した23人の候補者の地域を見てみましょう。その地域に住む人々こそ有権者ヒエラルキーの最底辺に暮らす人達です。権利貧困層に住む彼らの声は法律にも行政にも政策にも顧みられることなく放置されるのです。消費税が増税されても見返りを求める事が出来ず、ただお金を吸い上げられるだけでしょう。その様な状態は今回だけ…ではなく既に何十年も経過しています

一方で一人で何票もの価値を与えられた赤いエリアである「権利富豪層」達はこれから"所得保障"や”公共事業候補地””景気対策”等、莫大な予算配分を必要とする権利を勝ち取っていくでしょう。消費税が増税されようが、TPPに参加しようが彼らは手厚く保護されます。小選挙区で選ばれた300人の国会議員のうち、権利富豪層の為に働く国会議員は一割近くいるのです。



もう一度言いますが、「一票の格差」問題は数十年前から存在しています。選挙とは今後4年間の国家予算(直近4年で総額359兆)を「振り分けるべき人々」と「振り分けなくても良い人々」を峻別する作業です。これが数十年続いているという事は一体どういう事になるのかよくよく考えてみましょう。呑気に若者の低投票率をなじっている場合ではありません。ワーキングプアならぬ“ボーティング・プア”(voting poor)として、有権者社会の底辺に暮らす地域全体の問題なのです。

参議院議員選挙も合わせて見ると、この国の国家予算はどの方向に向いているのかひと目で分かります。

参考
格差問題@一票の価値 - Chikirinの日記