教科書の方向性

前回が教育の方向性だったので、今回は教科書について考察してみる。

教科書の方向性については2つある。
一つは言葉中心の教科書
もう一つはイラスト中心の教科書だ。

丁度理科の教科書がイメージしやすい。
小難しい言葉が鏤められているものが前者で
「図解」とかそういう形で視覚的に楽しく興味を持つ様に作られたものが後者だ


★★★

イラスト入りの教科書は非常に理解しやすい。「百間は一見に如かず」というが正にその言葉通りだろう。ひと目で分かるのである。これがイラスト中心のメリットである。下の図を見て欲しい。これだけでも理解がグンと進む。

デメリットは「イラストでなければ答えられない」という所にある。もう一度図をご覧頂き「文章で説明せよ」と言われたら貴方はどう説明しますか?恐らく何も答えられないだろう。



また、イラストによる理解とは大概「同じイラストでないと上手く説明できない」という状況も生みやすい。

最も最たる例が「漫画」だろう。あれは漫画を読んだ人同士でなければ分かり合えない。従って「もう読んだ?」「あの漫画読んだ?」で、同じイラストを読んだことを確認する作業から始まる。読んでない人には「兎に角面白いから読んで見なよ」と誘うことしか出来ない。漫画の主体は絵であり、言葉が少ない部類だからだろう、体験的には漫画のストーリー・世界観を魅力的に語れる友人は皆無である。


まとめると
イラスト中心の知識伝達法というのはインプット分野では優秀な成績を治められるかもしれないが、それを人に説明するアウトプット分野に転化し辛い。

★★★★

文章の最大の利点は「アウトプットに転化出来る内容がそのまま載っている」という事であろう。理解してしまえば内容の要約、改変等の「編集」が思いのままだ。この「編集」という過程はイラストでは絶対に不可能である。


文章のインプットは確かに難しい。長文のページは見開きするだけで億劫だ。が、それを上手く乗り越えられればアウトプット分野において優秀な手段となり得る。




結局、人を説得するのは最後はイラストでは無く「言葉」だ。実際の現場を見てみると、パワーポイント、パンフレット等の「イラストを沢山使ったツール」はあくまでも「説明補助ツール」であり説明の要ではない。優れたイラストがいくらあろうとも、言葉によって説明できなければ人を説得出来ないのが現実である。