グローバル人材にとって英語なんて飾り

大阪のおっちゃんが東京の職場に来たら東京の人はおっちゃんに何を期待してどんな質問をするだろう。たこ焼きの話でもするだろうか、それとも薄味うどんの汁の味を聞き出そうとするかも知れない。或いは現地の人々は橋本旋風の事をどう思っているのか、これから何が起こりそうで具体的に何が変わったのか?を聞き出そうと「そこまで持っていくためのプロセス」を考える人もいるだろう。流石に初対面でそこまで政治的な話をするのは難しいから、仲良くなってどの様な流れの中でこの話題に触れようか…とあれこれ頭を使って考えだす。

ネットで大阪の人からリアルなActionが返ってくる時代になったとはいえ、直接会って言葉のトーンや雰囲気を感じる事は何よりも現地の様子を知る為の手がかりとなる。Facebookを通して大阪の友達ができ、そこで大阪についてディスカッションを重ねることが当たり前になっても、東京と大阪の人々が直接会った際「考え方の違い」を探る事は止めないと思う。

これはグローバル社会にも言える。現代は海外との距離が非常に近くなった。LCCという低価格帯の航空サービスが拡充すれば今まで国内旅行で済ませて来た層が本格的に海外旅行を検討し始める。より遠くに人々が移動を始めるという事は「考え方の違い」を主張しなければならない場面も否応なしに増える事を意味する。東京と大阪でさえあれだけ頭を悩ませるのだから国を跨げばどれだけの量の質問が飛び交うか。どれだけ日本の事を理解しているか、そしてそれについて考えた結果を分かりやすく言葉にする事が出来るかどうか…がこれからの時代に必要になって来る。グローバル時代だからこそ文化の理解価値、説明価値が急上昇しているのだ。

日本がグローバル人材というと口をそろえて「英語」というがこれは誤りであると思う。そもそも英語とはコミュ手法の一つの「ツール」に過ぎない。英語が悠長に使えればグローバル人材となるなら英語が出来る日本のエリートは理想的なグローバル人材なのだろうか。日本の外交官は正に「日本のエリート」で国際的に見れば訛りのないキレイな英語が出来る…しかし相当な外交ベタだ。アレ以上に悠長に英語を話せたとしても外交ベタは治らないのは簡単に予測できる。日本のエリートが出来ない事を我々一般人が同じ方向性で頑張っても無駄なのは当たり前じゃなかろうか。


日本からグローバル人材をコンスタントに排出できないのは英語というツールが使いこなせないからという訳ではなく、日本文化の「ルーツ」を日本人自身が理解していないから…だと思う。


★★★★★★


欧州圏のルーツを語る為には「キリスト教」は欠かせない。キリスト教を知るには聖書が最良の教科書だ。これを読んでおけばある程度「考え方の違い」を知ることが出来る。更に欧州圏内では誰もがキリスト教の教えを知っているのでそれについて会話が出来るし、会話を通してテキストだけでは分からなかった事が鮮明に分かる。聖書が橋渡しとなって「考え方の違い」を明らかにしてくれるのだ。



では日本ではその様な役割を果たすアイテムはあるのだろうか?


ない


そもそも日本には宗教の教えを説いたモノがない。日本人は多神教であるがその多神教をテキスト化した本は存在しないし、宗教の「教え」「律法」もない。ギリギリの線で日本神話が挙げられるがこれを知っている日本人はどれだけいるのだろうか?日本神話でなくてもいい。「万葉集」「源氏物語」「徒然草」「枕草子」「奥の細道」等の日本文学を堂々と語れる人を僕は知らない。日本文学はおろか歴史についても詳しく語れる人間というのは希少種ではなかろうか。


橋渡し的な役割をするモノがないという事は「考え方の違い」を理解する上で非常にやっかいだ。何せどれを最良のテキストとして扱えばいいのか分からないのだから外国の方は日本文化を理解しようがない。宗教本も無ければ日本文学も知らない、自国の歴史も全く語れないという事実を知ると外国の方は落胆の気持ちになるのは間違いない。大阪のおっちゃんが「俺たこやき食った事ないんだよね」と言うぐらい裏切られた気持ちになる。そんな奴と「これからはグローバル時代だしよろしく」と悠長な英語で言われても先行きが暗い。


日本のルーツを知らないし、知ろうともしないで、ただただ英語が出来るだけ。だから日本人は国際的に「外交ベタ」なんだよなぁと思う。元々自分で考える事がニガテな国民なのにテキストがないと来たら全くの「無知」なんじゃなかろうか。その状態で英語をいくら極めようとも国際的に活躍できるはずがない。




日本ってどんな国なの?って言われた時に、堂々とその答えを言える人…それがグローバル人材として最低限のスキルじゃなかろうか。


英語なんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ!



★★★★
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